言葉の化石化
2006年 08月 07日
先日部屋を片付けていて見つけた古いカセットテープを聴いていました。いまどきカセットテープなんて、なんですが、日本を出た頃はまだCDが一般的でなかった時で、友達がレコードじゃ行く途中で割れちゃうかも知れないから、と葛城ユキのカセットテープを餞別にとプレゼントしてくれたのでした。カセットテープと言えば、ラジオから録音した曲を入れておくもの、という認識しかなかった私ですが、そのいただいたテープには、当然のことながら歌詞カードなども入っていて、もう何度も何度も聞いては歌ったものです。しばらくご無沙汰していたそのテープをまた聴きながら、その中の歌詞に「ダイアルを回してみても~♪」という部分があって、今時カセットテープも古いけど、「ダイアルを回す」って言い方も古いよなぁ、と思いました。プッシュホンが登場してから久しいのですが、最近の高校生はダイアル式の電話の使い方を知らないのだそうです。ううーむ。そういう人たちはもしかしなくても、レコードのかけかたとか知らないんでしょうか。
もう20年以上前になりますが、夏目漱石の坊ちゃんを読んでいた大正生まれの人が嘆いていたのを思い出します。それは、本の注釈に、坊ちゃんに出てくる「くるま」とは人力車のことである、とあり、人力車とは何かという説明が入っていたというのです。我々の世代は「くるま」と言えば自動車のことを思い浮かべるのは当然ですが、大正生まれの人にとって、「くるま」と言えば人力車を思い浮かべる時代があったのですね。
話は少しずれますが、まだ日本に住んでいた頃、オーストラリアから文化交流で着た高校生のホームステイを受け入れたことがあったのですが、その引率の先生はかつて日本に留学していた人で、我々がその頃「暴走族」と呼んでいた集団のことを彼は「かみなり族」と呼んでいました。それが妙におかしかったです。
しかし、数年前その元留学生の先生を笑えない出来事がありました。当時ちょうど生理を迎えようとしていた娘さんのいる日本人のお母さんと話をしていて、「オーストラリアって生理用のパンツとかって売ってないじゃない。だから日本の友達に連絡して送ってもらおうと思って『生理帯』送ってって言ったら、大笑いされちゃったわよ。」とそのお母さん。むむ~、「生理帯!?」「それって生理用ショーツとかって言いませんか?」という私が今度は笑われる番でした。「今じゃサニタリー・ショーツって言うんだってよ。」二人で大笑いしたのでした。